ノーコードでここまでできる!家具工場のERP構築ストーリー

奥夢家具工場はNocoBaseを使用してERPシステムを構築し、伝統的な管理におけるデータの混乱や複雑なプロセスなどの問題を解決しました。システムが稼働開始後、ルール調整にかかる時間が14日間から2時間に短縮され、データ誤差率が12%から0.3%に下がり、人件費が大幅に削減され、顧客からの苦情が大幅に減少しました。

どの家庭にも、それぞれのオーダーメイド家具のストーリーがあります

リフォームを終えたばかりの方に聞いてみれば、きっとこう答えるでしょう。「節約できる部分は節約しても、オーダー家具だけは絶対に妥協しない方がいい」と。

それは、キャビネットの仕上がりや空間の使い方が、これからの10年、いやもっと長く毎日の生活に大きく影響するからです。たとえば、有害物質が多かったり、扉が割れたり、キャビネットに隙間ができたり、畳がぴったり合わなかったり——そうしたトラブルが積み重なれば、ずっと悩みの種になってしまいます。

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実際、オーダーメイド家具の現場ではミスが絶えません。その理由は、生産・設計・施工の担当がバラバラで、連絡は電話やグループチャットなど、昔ながらのやり方に頼っているからです。たくさんの人が関わるほど、ミスが起こりやすくなるのも仕方ありません。

中国中で、何十万もの小さな会社が急増するオーダーメイド家具の需要に応えていますが、ほとんどの工場は今も紙とペンで管理していて、データはバラバラ、業務も混乱しがちです。

「オーダーメイド」は消費者にとっては理想の暮らしを実現する選択肢ですが、工場側にとっては、管理の難しさやコストの増大、リスクの高さと常に向き合わなければならない現実でもあります。

小規模事業者の知られざる苦労

オーダー家具の世界は、一般のイメージよりもずっと複雑です。

お客様から見れば、「希望を伝えて、数週間待てば理想の部屋が完成!」とシンプルに思えるかもしれません。

でも実際の現場では、一つの注文にたくさんの工程が絡みます。材料の手配、板のカット、生産スケジュールの調整、配送や現場設置の手配、アフターサービスまで——どこか一つでもミスがあれば、すぐにクレームにつながってしまいます。

とくに中国では、家具メーカーの9割以上が中小企業です。多くの工場は、今もExcelやWeChatグループ、手書きのメモで管理していて、設計ミスや伝票の紛失、月末の帳簿のズレなど、毎日のように悩まされています。

奥夢家具も、そんな中国中の何十万社という小さなオーダー家具工場のひとつ。決して大きなチームではありませんが、毎年たくさんのお客様の要望に応えてきました。そして、その日々はいつも、さまざまなトラブルや管理の苦労の連続でした。

市販のERPソフトを買うことや、外部の業者にシステムを作ってもらうことも考えましたが、どれも高すぎたり、自分たちの業務には合わなかったり。「その機能は標準ではありません。追加料金になります」と言われるたびに、「お客様の要望は毎回違うのに、そのたび追加費用なんて…」と、納得できませんでした。

自社で一からシステムを作るのも現実的ではありません。IT担当者の採用やサーバーの導入、保守管理など、毎年多額のコストがかかります。

デジタル化の重要性は理解していたけれど、小さな会社にとっては、乗り越えるにはあまりにも大きな壁だったのです。

奥夢家具が新しい一歩を踏み出せた理由

そんな奥夢家具の転機になったのが、NocoBaseとの出会いでした。

従来のERPとは違い、NocoBaseはオープンソースなので圧倒的に低コスト。しかもノーコード型だから、IT担当がいなくても、現場スタッフが自分たちでシステムを作り、運用できる。「コードを書かずに業務システムが作れる」という新しい選択肢は、奥夢家具に本当の希望をもたらしました。

「これなら、私たちにもできるかもしれない」——そう思わせてくれるツールだったのです。

NocoBaseは、これまでの常識を覆す存在です。高価で難しい従来のシステムとも、制約が多い他のノーコード・ローコードツールとも違い、“自由度”と“手軽さ”の両方を兼ね備えています。

実際に使い込む中で、奥夢家具は自社にピッタリの特徴を見つけました:

  • コストを自分たちでコントロールできる

NocoBaseはオープンソース・無料で使え、セルフホストも可能。高額なライセンス料や隠れた費用もなく、本当に必要な機能だけをプラグインで追加できます。

  • 複雑な業務も簡単に管理できるデータ設計

顧客・注文・生産管理など、複雑な業務ルールも設定画面だけで柔軟に対応。多階層の関係や、1対多・多対多のような複雑なデータ構造も簡単。既存のMySQLやPostgreSQLとつなげて、手間のかかるデータ移行も不要です。

  • ノーコードなので現場主導の改善ができる

IT担当に頼らず、現場のスタッフが自分たちでドラッグ&ドロップで業務変更。複数承認を含むワークフローもすぐに作れ、ルール変更のスピードも従来の約90%短縮。パソコンもスマホも、豊富な標準コンポーネントで使いやすい画面が手軽に作れます。

  • 企業レベルのデータ安全性

セルフホスト型なので、大切なデータはクラウドから完全に隔離され、情報漏洩リスクも最小限。フィールド単位のきめ細かい権限設定で、例えば「金額情報だけ特定の担当だけに見せる」といった運用も自在です。

  • 拡張性は無限大

NocoBase独自のマイクロカーネル設計で、システム本体は超軽量(たった200KB)。新しい機能もプラグインを追加するだけ。OSSコミュニティも活発なので、どんな要望にも柔軟に対応できる安心感があります。

ERPはもう“大企業だけのもの”じゃない

NocoBaseを導入したことで、奥夢家具は少しずつ多くの業務を新しいデジタルプラットフォームに移行していきました。

その中でも、とくに現場で大きな変化を実感したのが「業務ルールの柔軟な設定」と「生産データのリアルタイム連携」でした。

業務ルールの柔軟な設定:もう“開発地獄”とは無縁

従来なら、業務ルールをほんの少し変えるだけで…

  • バックエンドは夜な夜なコードを書き直し
  • フロントエンドはReactやVueの修正に追われ
  • データベース担当は構造変更と移行で大忙し
  • 2〜3週間かけてやっと終わっても、どこかでミスすれば技術的負債ばかり増えて、やがて誰も手を付けたくなくなる…

でもNocoBaseなら——

  • 業務スタッフ自身が、画面から直接データモデルやルールを設定でき、新しいテーブルやAPIも自動で作成

new tables and APIs are generated automatically.png

  • 項目追加も、これまで2日かかっていた作業がたった5秒で完了

add a field now takes just five seconds

  • フォーム修正も、3日がかりだったものが10分で終わる
  • ワークフローのバージョン管理で、いつ誰が何を変更したかも一目瞭然

Built-in workflow versioning

現場が主導でどんどん改善できるので、IT部門の負担は劇的に減りました。

手作業の照合は、もう昔話

家具業界では出来高払いが当たり前ですが、その分、給与トラブルが絶えません。奥夢家具でも、以前は紙伝票やExcelで給与を管理し、毎月経理5人が1週間かけて残業しながら記録を照合していましたが、ミス率はなんと約20%。毎月のように「計算が合わない」「払われていない」といったトラブルが続出していました。

そこで奥夢は、現場のバーコードリーダーやPDAとNocoBaseを連携。今では、作業員が作業を終えるごとにその場でバーコードをスキャン、データは即時バックエンドに反映され、自動で照合される仕組みに進化しました。

  • 同じ作業コードが10分以内に二重スキャンされても、システムが即座に検知してブロック
  • MES(生産管理)と経理データが自動連携し、生産進捗と給与が常に一致
  • 月末の照合も、以前は5人×7日かかったのが、今は1人で数時間あれば完了。ミスも給与トラブルも、ほぼゼロに

instant validation

現場リーダーは、作業ごとのランキングや生産効率を1時間ごとにリアルタイムで確認可能。効率が20%以上変動したときは、システムが自動でアラートを出し、すぐに対応できます。

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Kingdee ERPなど外部システムとも連携でき、複数データが瞬時に反映。財務書類も自動生成され、経理の仕事も一気にスムーズになりました。

作業員ももう、経理に「今月いくら?」と聞きに行く必要はありません。会社のWeChatから、いつでもその日の収入を自分でチェックできるようになりました。

数字が証明する、現場の進化

デジタルシステムの導入によって、奥夢家具の現場では「効率化」がもはやスローガンではなく、毎日リアルに体感できるものになりました。

かつて「仕方ない」と諦めていた問題も、今では正確で確かなデータで見える化し、しっかり追跡・解決できるようになったのです。

管理指標導入前導入後改善率
ルール変更14日2時間98.5%短縮
データエラー率12%0.30%97.5%削減
人件費5万元/月(CNY)5千元/月(CNY)90%削減
クレーム率8%0.50%93.7%減少

こうした変化の裏には、会社そのものの「やり方」が根本から変わったという実感があります。

データ照合や管理業務はこれまで以上に正確に。経理やマネジメントも手作業から解放され、顧客対応も格段にレベルアップしました。

何より、このすべてを実現したのは外部のコンサルでもシステム会社でもなく、自社のスタッフ自身だったということ。デジタル化の力を、自分たちの手でつかみ取った実感があります。

本当に使えるデジタル化、その未来は「誰もが手にできる」こと

長い間、「デジタル化」や「ERPシステム」は一部の大企業だけの特権でした。

奥夢家具のような多くの伝統的な中小企業にとっては、高いコストや複雑な導入、長い立ち上げ期間が“デジタル化”を遠い夢にしてきたのです。

けれど、今は違います。

奥夢家具は「ただデジタル化する」だけで満足せず、新しい力を“イノベーションと成長の基盤”に変えていこうとしています。

これからの目標はシンプルです:

  • 技術の進化

NocoBaseのプラグインで、注文の自動振り分けや工程スケジューリングなど、業界特有の機能を追加し、カスタム家具の業務フローを極限まで効率化する。

  • つながるエコシステム

NocoBaseコミュニティと共に、住宅カスタマイズ業界の共通ソリューション集をつくり、知見やノウハウを共有。ひとりで悩まず、皆で成長できる場を広げる。

  • 新しい業界像

どんなに複雑で変化の早い業界でも、オープンソースかつノーコードのツールがあれば、誰でも“使いやすく・効率的”な経営ができることを証明する。デジタル化は大企業のものじゃない。本気で変わりたい全ての中小企業にこそ、その力が必要です。

digital transformation

NocoBaseは、これまで“指をくわえて見ているだけ”だった伝統企業にも、「自分たちの手で」デジタル管理システムをつくる力を与えます。

私たちのミッションは、デジタル化を本当に“身近で、使えて、意味のあるもの”にし、変革を目指すすべての企業の一歩を後押しすること。

仕事にこだわるすべての会社が、デジタル化の成長を実感できる時代をつくっていきます。

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