400名超の弁護士事務所、NocoBaseで報酬管理を最適化

400 名以上の法律事務所が、 NocoBaseのノーコードツールを活用し、動的ルール設定と自動処理により、報酬計算を6 倍効率化、ミスゼロを実現。1,030 万($70k+)以上の損失回避も見込まれます。

Deng lijia |

背景

ある法律事務所(クライアントの希望で匿名)は、民事・商事法や知的財産分野を専門とし、訴訟案件からコンサルティング業務まで幅広く手掛けています。所属弁護士数は現在400名を超え、年間1万件以上の案件を処理しています。しかし、業務の急拡大に伴って、弁護士の報酬管理において以下のような課題に直面していました。

  • 案件の分類が複雑化:8つの大分類と16の小分類に細かく分かれており、報酬計算ルールが非常に複雑です。
  • 弁護士のランク制度が詳細化:5段階にランク分けされた制度が導入されており、ランクごとに異なる報酬基準があります。
  • 頻繁に変更される報酬ルール:報酬制度は少なくとも年1回は見直されるため、Excelなどの従来ツールでは柔軟に対応できません。

従来型の管理ツールでは、事務所の急成長に伴う複雑な業務要件に対応しきれなくなっており、よりシンプルで変更にも柔軟に対応できる管理ツールの導入が急務となっています。

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従来型管理ツールが抱えた課題

フェーズ1:Excelによる複雑なデータ管理が限界に

案件数がまだ少なかった頃、Excelは弁護士の報酬計算ツールとして財務チームに重宝されていました。しかし月間案件数が800件を超える頃から、Excelでは対応しきれない問題が次々と発生しました。財務チームは12個もの複雑なテンプレートを管理し、最大45項目もの変動要素を含む複雑な数式を扱わざるを得ず、日々の管理業務が著しく煩雑化しました。

そのため、小さなミスでも深刻なトラブルに繋がりかねませんでした。例えば2023年には、財務担当者がExcel上の重要な関連データ表を誤って非表示にした結果、3名の弁護士の報酬計算に誤りが生じ、修正作業に32時間も費やす事態となりました。

また、新入社員がこうした複雑なテンプレートを使いこなせるようになるまでには約2か月の研修が必要で、その間のエラー発生率は17%にも及びました。そのため、業務負荷が増大するだけでなく、組織としてのリスクも高まっていました。

フェーズ2:独自システムの開発がかえって業務停滞を招く

Excel管理の限界を解決するため、この法律事務所は約20万元の予算をかけて専用の案件管理システムを独自に開発しました。しかし、このシステムは導入直後から思わぬ問題を次々と引き起こしました。

初期設計では、頻繁に発生する複雑な業務ルールの変更を想定できていませんでした。そのため、新たなルール(例:「地域間連携ルール」の追加)が発生するたび、システムの重要部分を大きく改修する必要がありました。小さな調整でも最大で2か月ほど開発作業がかかり、開発費用は予算を大きく上回る結果となりました。

さらに、この自社システムは既存のOAシステムとリアルタイムでデータ連携できなかったため、職員は案件データの4割以上を手動で抽出・確認しなければなりませんでした。データの重複や分散が進むにつれ、職員の負担は増加し、手作業によるミスのリスクも高まりました。

こうして、スムーズに進むはずだったデジタル化は逆に非効率を生み出し、多額の投資にもかかわらず業務が停滞してしまったのです。

潜在リスク:データ漏洩と管理体制の混乱

Excel管理の時期にも自社システム構築の時期にも、共通する重大な問題が見過ごされていました。それは、データの漏洩リスクと管理の混乱です。

財務部門と業務部門が別々に報酬データを管理していた結果、同じ案件に対して異なる計算結果が複数存在し、会計処理の混乱だけでなく弁護士間の不信感を引き起こしました。また、統一されたデータ管理の仕組みがないため、特にパートナー報酬などの機密データが、セキュリティ対策が不十分なWeChat等で頻繁に共有され、情報漏洩の危険性を著しく高めていました。

単なるデータ管理上の問題に見えたこの状況は、実際には重大なリスクを生み出し、組織内の信頼関係や業務効率に深刻な悪影響を及ぼしていたのです。

NocoBaseの導入

このような課題を解決するため、事務所はNocoBaseを導入し、弁護士報酬の管理業務を迅速に効率化しました。

1.コードを書かずに柔軟なルール設定

NocoBaseの視覚的なワークフローエンジンを利用することで、従来複雑だった計算ルールを直感的に分かりやすいビジュアルノードで表現可能になり、煩雑なプログラム開発を一切不要にしました。

案件の種類に応じて必要な計算ルールが自動的に選ばれます。例えば「知的財産」案件と判断された場合、「技術的価値付加係数」が自動的に適用され、手作業での入力を省くことができます。また、既存のOAシステムとも直接連携し、弁護士ランクなどの重要な情報を常に最新の状態に保つため、計算ミスが起こることはありません。 報酬計算の一例を示すと、以下のようになります。

基本報酬 × [1 + (対象金額係数 × 0.3)] + 地域間連携手当 × 弁護士の関与度

ノーコードでの設定を活用することで、これまで数週間かかっていたルール変更作業を約90%短縮できるようになり、事務所が迅速かつ柔軟に業務改善を進められるようになりました。

2.データの一元化により分散管理の問題を解消

従来は複数のシステムに案件データが分散していたため、報酬計算のたびに手動でデータの抽出や確認が必要で、非効率でミスが頻発する原因となっていました。NocoBaseを活用することで、事務所内のデータを一元化し、それまで分断されていたデータをシームレスにつなぎ合わせることに成功しました。

財務担当者は案件情報を開くだけで、以下のような必要なデータを一画面で簡単に確認できるようになりました。

  • 請求情報:請求金額や支払状況がリアルタイムで自動表示
  • 報酬内訳:弁護士ごとの詳しい計算過程と最終的な報酬額が明確に表示
  • 関連費用:交通費や鑑定料など案件ごとの諸経費が一目で分かるよう表示

さらに、NocoBaseの柔軟な絞り込み機能により、財務チームは「未払い」「紛争中」「保管済み」などのステータス別に報酬データをすぐに抽出可能となり、作業効率が飛躍的に高まりました。

また、NocoBaseのワークフローにはバージョン管理機能が搭載されており、過去のルールやデータをいつでも確認可能です。報酬ルールが変更されても過去のルールはそのまま保持され、新しいルールはコピーした新バージョンとして管理されるため、過去のデータに影響を及ぼすことなく安全に更新を進められます。

3.ワークフローの自動化でリスク管理を高度化

NocoBaseの導入後、事務所は自動化されたワークフローを活用してリスク管理を大きく改善しました。

  • 自動コンプライアンスチェック:報酬データを常時モニタリングし、設定された基準(報酬額が規定範囲内かどうかなど)を自動で確認します。万が一異常が見つかった場合はすぐに担当者に通知が届き、エラーやリスクを未然に防ぎます。
  • リスクの早期検知・警告:報酬金額の異常な変動や、案件処理の遅延が発生した際、システムが自動的にアラートを発信します。担当者は速やかに対応できるため、小さな問題が大きなトラブルになることを回避できます。
  • データを活用した意思決定支援:事務所はデータ分析を通じて案件タイプや弁護士の経験年数と収益への貢献度の関連性を把握しやすくなりました。その結果、案件の最適な割り振りが可能となり、チーム全体の業務効率と収益性の向上に役立っています。

4.ダッシュボードでチームの業務状況をリアルタイムに可視化

これまで法律事務所の管理者は、財務状況やチームのパフォーマンスを評価するために、複数のシステムからデータを手作業で抽出・分析しなければなりませんでした。しかし、NocoBaseのダッシュボードを導入することで、必要な業務データを瞬時に把握でき、より迅速で的確な意思決定が可能になりました。

  • キャッシュフローの即時確認:パートナー弁護士は案件の詳細を開くだけで、クライアントの支払状況や弁護士の報酬支払い状況をすぐに確認できるため、財務レポートを待つ手間がなくなりました。
  • コスト管理のリアルタイム化:ダッシュボード上で、出張費や鑑定費などの予算超過が一目で分かるため、早めに対応できます。
  • チームパフォーマンスの可視化:案件処理の効率や収益貢献度をもとに弁護士のランキングが自動で作成されるため、管理者は優秀なチームや弁護士をすぐに把握し、チーム編成やリソース配分を最適化できます。

成果とメリット:法律事務所の管理を大きく改善

NocoBaseの導入により、法律事務所は報酬管理の効率と精度を大幅に向上させ、長年の課題を解決しました。

  • 業務効率の大幅向上:以前は3日かかっていた月次の報酬計算が、わずか4時間で完了。計算効率が6倍向上し、財務担当者の負担が大幅に軽減されました。
  • 計算ミスゼロを実現:NocoBaseの導入以来、手作業による計算ミスがなくなり、これまで発生していた報酬に関するトラブルが解消されました。
  • 柔軟で迅速なルール変更:ポリシー変更時に長期のシステム改修が不要に。例えば、四半期ごとの案件補助制度を導入する際、ルール設定から適用までわずか2時間で完了しました。
  • リスク管理の強化:正確なデータ管理とリスク管理プロセスの確立により、労働紛争のリスクを低減し、約1,030 万($70k+)の潜在的損失を回避しました。
  • データに基づいた迅速な意思決定:リアルタイムのダッシュボードにより、パートナー弁護士はチームの収益やコストを即座に把握し、案件の割り振りや人員配置を適切に調整できるようになり、事務所の運営がよりスムーズになりました。

結論:ノーコードで実現する柔軟で効率的な管理

弁護士の報酬管理には、常に複雑なルールや変動するデータへの対応が求められます。NocoBaseは、こうした課題を解決し、ルールの調整やデータ計算をノーコードで簡単に処理できるシンプルで柔軟な仕組みを提供します。

ノーコードを活用することで、事務所は煩雑な計算やシステム開発に時間を取られることなく、より重要な業務に集中できるようになりました。NocoBaseが管理の負担を軽減し、事務所が迅速かつ正確にビジネスの変化に適応できるようサポートします。

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